とりあえず音楽でも。

最近のR&BやらHIP HOPやら。CDで買えるものを紹介します。

Tyla / Tyla

先行の2曲("Water"、"Truth or Dare")が気持ちよくてリリースを心待ちにしてた1枚。今年のグラミーでベスト・アフリカン・ミュージック・パフォーマンス(彼女は南アフリカ出身です)を受賞したタイミングでリリースとなりました。ヤッタネ!

アフロ・ビートとハウスとR&Bをミックスしたサウンド(アマピアノと言うらしいです)が特徴。鼻にかかった声、細身の体から少し苦しそうに出す高音とアリアナとキャラ被り気味なだけに、リリースのタイミングまでもろ被りになったのは、いかにも勿体無いです。

肝心のアルバムの内容といえば各曲とも粒ぞろいで、「"Water"の一発屋では終わらないぞ」的な強い意気込みを感じます。ハウスの体感温度低めなビートと、少し儚げなヴォーカルはこれからの季節にぴったりだと思います。

ピックアップするのはナイジェリア出身のシンガー、Temsが参加したこの曲。リアーナの"Lift Me Up"の作家の一人としてクレジットされている彼女も気になります。

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Tyla - No.1 (Official Lyric Video) ft. Tems

Usher / Coming Home

8年ぶり9枚目。とはいえ90年代から00年代を代表するシンガーの印象が強いので、お久しぶり感はもっとかも。2月に行われたスーパーボールのハーフタイムショーをアルバムのプロモーションの場にしちゃう辺りは、やっぱりスターです。

本アルバム、そのショーでも共演したH.E.R.の他Summer Walker、21 Savageら若手の人気アーティストを参加させたりしてはいますが、当時から聴いていた(私なんかの)層にとっては彼の歌声が健在なだけで結構満足度が高かったりもします。トラックはプロのプロデューサー陣がとがり過ぎない程度にアップデートさせているので、ベテランの久々のリリースにありがちな貧乏くささとは無縁です。安心してください。

そんな懐かしい気持ちも満たされながら、最近のR&Bにも触れた感覚も得られるこのアルバムから選んだのはアルバム冒頭のこの曲。ただ残念な事にこの曲以外ダンスチューンがありません。若いころからダンスには熱心に取り組んでいた(と昔LAリードが言っていました)ようだし、まだまだ踊れそうだし、実際踊れてたし。

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USHER - Keep On Dancin' (Visualizer)

Bas / We Only Talk About Real Shit When We're Fucked Up

Jコール率いるDreamvilleのラッパー/シンガーの4枚目のアルバム。「こいう音」という明確な表現がしづらいんだけど、どこを切ってもなんとなく「Jコールっぽい」、Dreamvilleらしいサウンドが満載です。

典型的なトラップ・ソウルもあれば、対角線にあるようなFKJとの共作やら、彼のルーツを感じさせるアフロ・ビートもあったりで、ジャケのハードコアなイメージとは裏腹のバラエティに富んだ華のあるアルバムに仕上がっています。

チョイスしたのはJコールが参加した"Passport Bros"。このアルバムを象徴するようなモチーフとトラック、なんて理屈ぽく書きましたが、ただただ格好良いです。

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Bas - Passport Bros (with J. Cole) (Official Music Video) ft. J. Cole

Ariana Grande / eternal sunshine

2年ぶり7作目。デビューアルバムが2013年なので、10年以上ヒット作を出し続けるプレッシャーは、本人、周囲のスタッフとも想像を絶するものがあるんだろうなと思います。個人的にはマンチェスターのテロ事件(これも常人では想像がつかない世界線)から立ち直った姿に強く興味をひかれて聞き始めたんですが、デビューから一貫してこれだけヒットを続けるという事は、それだけの魅力があるはずといことで、その点でも毎回楽しみにしてます。

リードシングルの"Yes,and?"がまんま"Vogue"だったので、アルバムも1990年前後の派手で華美なテイストかと思いきや、さにあらず。ソフトなミディアム・スロウが大半で、アリアナのヴォーカルも優しく語り掛けるようなものが多く、親密な印象を受けます。

今回ご紹介するのは4曲。まずは"Yes,and?"。アリアナの定番テーマ「私は私」。まぁ、色んなとこから変なちょっかいが掛けられるんでしょうね。七輪の件は気の毒というしか無かったし。2曲目は"Vogue"。マドンナの1990年の大ヒット作で、彼女のキャリアにおいてターニングポイントになった曲だと思います。3曲目はポーラ・アブドゥル"Cold Hearted"。こちらは1989年の作品なんですが、"Yes,and?"のMVはこの曲のMVがベースになっています。最後はアリアナの"no tears left to cry"。テロ事件の後、初めて発表された作品で、自分自身を奮い立たせる、やせ我慢にも思える力強いメッセージが込められています。聴いてるこっちが泣けるわ、もう。

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Ariana Grande - yes, and? (official music video)

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Madonna - Vogue (Official Video)

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Paula Abdul - Cold Hearted (Official Music Video)

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Ariana Grande - no tears left to cry (Official Video)

Kali Uchis / Orquideas

もうね、見たまんまです。歌声がとにかく。前作が英語詞のUSメジャーR&B路線だったので、今回はスペイン語詞のラテン路線です。と言っても典型的なラテンポップというよりレゲトンやラテンハウスなんかのアッパーな曲だったり、スムーズで洗練されたR&B的アレンジの曲が多く、より大きなマーケットを狙った作品だと思います。

とりあげるのはメキシコの若手シンガー、Peso Plumaとのデュエット曲。アルバム中でも屈指のスムースミッドチューンです。

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2 Chainz ,Lil Wayne / Welcome 2 Collegrove

リル・ウェインと2度目の競作です。メジャーデビューは2012年、すでに35才とベテランの域に差し掛かった年齢だったわけですが、その後はコンスタントにリリースを続け今作が8枚目のスタジオアルバムです。小刻みなトラップのリズムに、おっさん二人の貫禄たっぷりなラップが乗る安定感。完成度が高いってこういう事だと思います。

取り上げる1曲は、久しぶりのアルバムリリースが決まった元R&B王子、現おっさんを加えた、おっさんトリオによるこの曲。

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2 Chainz, Lil Wayne, USHER - Transparency

Victoria Monet / Jaguar II

今年一番楽しみにしてたアルバム。とにかく曲がいい。参加アーティストも客演にLucky Daye、Buju Banton、プロデュースにはSilk Sonic やTy Dolla SignでR&B愛溢れる仕事をしたD'Mileをメインに、Kaytranadaもアルバム中の良いアクセントとして効いています。後半は70年代ソウルから流行りのシティ・ポップ風アレンジもありで、2023年のアルバムとしてスキがありません。

ピックアップするのは私が今年一番聞いた曲。この曲の記事を書くために、このブログを始めたような気がします。

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Victoria Monét - Smoke (Official Video) ft. Lucky Daye